美と健康メンテナンス特集 / セラミドバリアー

第1弾 肌バリアーでアレルギーから身を守る

特集 セラミドバリアーの第1弾は、「肌バリアーでアレルギーから身を守る」です。
どうして体内にアレルギー物質が入ってくると、肌が赤くなって痒くなったりするのか?アレルギーの基礎から最新研究まで、私達の肌の敵、アレルギーについて、アレルギー専門医にお話を聞きました。
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美と健康を学ぶ セラミドバリアー アレルギーから身を守る

アレルギー反応ってなんで起こるの?

アレルギー物質が体内に入ってくることで起こるアレルギー反応は、外から体内に侵入してくる細菌やウィルスから身を守るために働く免疫反応の一種です。例えば、風邪をひいたときに黄色い鼻水や痰が出ますが、これは体内の防御システムが正常に働き、やっつけた菌やウィルスの死骸が排出された証拠です。しかし、退治する必要がある病原体だけでなく、本来身体に害のない花粉や食物を異物と判断し、免疫が過剰反応を示してしまう場合があります。これがアレルギー反応の始まりです。

アレルギーの元となる花粉やダニの死骸、皮膚の汚れなどの異物(これを抗原といいます)が、目や口、鼻、弱った肌から体内に侵入すると、異物に反応し受け皿(これを抗体といいます。)が作られます。異物が受け皿にくっつくことで、体内の細胞が反応を起こし、かゆみやくしゃみの元となる化学物質が吐き出されます。この反応が何度も繰り返されることで、少しの異物でも身体が過剰に反応するアレルギー体質になってしまうのです。

アレルギー反応が起こるしくみ

皮膚からも入ってくることがわかってきた

花粉症や食物アレルギーを思い浮かべると、アレルギーの元となる異物は、目や口、鼻から入ってくるのだろうとイメージできます。実際に、アレルギーを研究している医師や研究者の間でも、これまで目や口、鼻から入ってくるアレルギー物質さえ防げばいいと、マスクやゴーグルを勧めていました。

しかし、最近の研究で、それ以外にも皮膚から体内に入ってくる場合があることがわかってきました。しかもその割合はかなり高く、子供の時のアトピー性皮膚炎の発症原因の多くは皮膚経由ではないかと言われています。さらに食物アレルギーや花粉症、気管支ぜんそくといった、皮膚とは関係がなさそうなアレルギーも、発症のきっかけは皮膚を介して起こっていることが明らかになりました。

そうなると、これまで一生懸命、食事に気を付けて、マスクを欠かさない生活をしているのに、アレルギーが酷くなる一方だ!という方は、もしかしたら肌ケアをすることで、アレルギー症状を抑えられるようになるかもしれません。

皮膚からアレルギー物質が入ってくる仕組み

通常であれば、表皮の一番外側、空気に接している角質層がバリアーの役目を担うことで、体内に侵入しようとする異物を跳ね返しています。このバリアー機能があるため、皮膚からアレルギー物質が入ってくることはないと考えられていました。しかし、この角質層を作っている細胞のつなぎ目となっているセラミドが加齢などの原因で減ってしまうと、バリアー機能が十分に保てなくなり、異物が体内に侵入してきます。同時に体内の水分も外に蒸発してしまい、肌が乾燥してしまう原因にもなります。

外からのアレルギー物質が体内に入っても、免疫機能が正常に働いていれば、アレルギー症状は起こらないのですが、もともとアレルギーを起こしやすい体質であったり、ストレスや疲労によって免疫が正常に働かない状態であると、体内で過剰な拒否反応が起こり、アレルギー症状を引き起こします。

健康な皮膚とアトピー性皮膚炎の皮膚

一度なったら治らない?

果たしてアレルギーが完治することはあるのでしょうか?
臨床経験が豊富なアレルギー専門医であられる荻野先生に、お尋ねしました。

ダイセル研究員

「子供の時はアトピーが酷かったのだけど、いつの間にか治っていた。」という経験がある人もいれば、「一度花粉症になったら治らない。」とも聞きます。実際のところ、アレルギーが治るということはあるのでしょうか?
荻野先生の写真

荻野先生

アレルギー反応は、アレルギー物質に対する免疫が過剰反応することに起こるため、一度免疫が作られると基本的には元に戻ることはありません。昔は酷かったアトピー症状が弱まった(これを「寛解(かんかい)する」といいます。)という方は、大きくなってから花粉症にかかってしまうことが少なくありません。

ダイセル研究員

そうなると、一度アレルギーになってしまうと、治す方法はないということでしょうか?
荻野先生の写真

荻野先生

アレルギーがない状態に戻すことはできませんが、アレルギー症状をできるだけ抑えるということは可能です。アトピーといった肌に関する症状であれば、かゆみや腫れには炎症を抑える薬を飲むことが有効ですし、表皮のバリアー機能を保護するセラミドなどが含まれた保湿液を塗ることで正常な肌に近づけることができます。

また、最近では少量のアレルギー物質を舌の下に垂らし、アレルギーに慣らすことで症状を軽くするという「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」や、アレルギーワクチンの研究も進んでいます。将来的には、日常生活に影響がないぐらいアレルギー症状を抑える方法が見つかるのではと期待しています。

ダイセル研究員

しかし、生まれたばかりの子供には薬を飲ませたくないですね。
荻野先生の写真

荻野先生

アトピー素因のあるお子さんは幼い頃に発症したアトピーに加え、大きくなるにつれ喘息にもかかってしまうことがよくあります。そういった子供達には、生まれた直後から肌ケアをしてあげる必要があります。生後すぐに毎日全身に保湿剤を塗った場合と、塗らなかった場合を比較したところ、保湿剤を塗っていた約30~50%の子供達でアトピーの発症率が下がったという研究報告があります。つまり、ご両親がアレルギーで、子供にアトピー素因があったとしても、生まれてすぐに肌のメンテナンスをしっかりしておくことで、アレルギーの発症を防げる可能性があるわけです。

ダイセル研究員

これは知ってるか知らないかで、その子の将来が大きく変わりますね。

アレルギー物質の侵入をブロックするために

元来、皮膚の角質層にはラメラ構造という、水と油が交互に積み重なってできた強固なバリア機能が備わっています。このラメラ構造を保持する緩衝材のような役割をしているのが、セラミドです。

皮膚の角質層のラメラ構造

セラミドは加齢とともに減少することが知られており、40歳代では生まれたばかりの赤ちゃんと比べ、40%も減少することが分かっています。またアトピー性皮膚炎の患者さんでは、皮膚に炎症がないところでもセラミドが不足しており、肌の水分量を示す水分蒸散量が低下していることが報告されています。

年齢と角質層中のセラミド含有の関係

つまり、これまでお肌の悩みがなかった方も加齢とともにセラミドが減少していくことで、肌のバリア機能が低下し、アトピーなどの肌トラブルが発生する可能性が高まっていきます。セラミドを含む化粧品やサプリメントを摂取し、不足した体内のセラミドを補ってあげることで、潤いやツヤを改善するといった美容の面だけでなく、アレルギー物質の侵入を防ぐというアトピー予防の面からも重要です。

こんにゃくセラミドを摂取した後のアンケート調査結果(4週間後)

セラミドバリアー特集のシリーズ

この記事の監修者

大阪大学名誉教授 荻野 敏先生
大阪大学名誉教授荻野 敏先生
  • 大阪大学医学部卒業後、1995年から2013年まで同大学医学部で教授を務め、現大阪大学名誉教授。耳鼻咽喉科領域におけるアレルギー疾患の診断・治療のスペシャリストとして、アレルギー関連の臨床試験において850本以上の文献に名を連ねる。疫学的研究や医療経済学への知見も深く、消費者のライフサイクルに健康食品を組み込む術のアドバイスも行っている。

参考文献

  • Horimukai K, Morita K, Narita M, et al : Application of moisturizer to neonates prevents development of atopic dermatitis, J Allergy Clin Immunol, 134 : 824-830, 2014
  • Simpson EL, Chalmers JR, Hanifin JM, et al : Emollient enhancement of the skin barrier from birth offers effective atopic dermatitis prevention, J Allergy Clin Immunol, 134 : 818-823, 2014
  • 斎藤 博久著, Q&Aでよくわかるアレルギーの仕組み, 2015年12月20日初版, 株式会社技術評論社発行